金融所得課税の増税が間違いである3つの理由
岸田総理が金融所得課税の見直しについて、今すぐではない、と撤回とも取れる発言をしておりましたね。
個人的には撤回大賛成です。個人的に税金が上がってほしくないという思いがあるのはもちろんですが、総合的に見ても所得の再配分という目的やこれまでの政策に合わないのではないか?と思うからです。
1. 本当に税金が増えるの?
どんどん税率を上げているタバコ税ですが、1996年度の2.13兆円に対し2020年度が1.97兆円と税収は増えるどころか減っています。タバコは健康の害もあるので、喫煙者を減らすこと自体に意味があるのかもしれませんが、金融所得課税に同じことが起きて意味があるのでしょうか?
下記の理由から同じようなことが起きてしまうのではないか?と思います。
1) 国内の資金流出 (一億円超の所得者は海外移住可能)
身近なところではマレーシアのMM2Hですね。
お金が有れば税金の安い国に移住することのハードルはどんどん下がります。
もしアメリカに移住したら、金融所得への税率は10%です。日本の20%でも高いのに尚更上がっていくのであれば移住してしまうのも手段として出てくるかと。
政府が言及していた年間の所得1億円以上の人なんて、どこでも選び放題ですよね。そんな中で日本をどこまで選び続けてくれるのかなぁと。
2) 海外からの資金流入減少
税金が高い国にわざわざ投資しないですよね。よっぽど魅力的な国ならまだしも、今の日本が世界の中で魅力的な国には見えません。そんな中で税金も上げられてしまったらますます魅力がなくなってしまうのではないでしょうか。
平成元年には時価総額Top5は全て日本の企業でしたが、平成最後の平成31年にはトヨタ自動車が唯一43位にいるのが最高位です。ランキングが全てではありませんが、魅力がなくなっている一つの指標ではないでしょうか。
海外からの投資が減れば、当然そこから生まれる税金も減ってしまう訳で。。。
3) 国民の投資も減る
消費税が上がれば消費が減るのと同じです。儲かっても税金に持っていかれるので有れば、何故リスクをとって投資をするのか?と。国民が投資を控えればそもそも税金をとる基が減ってしまいます。
2. 老後の資産形成を阻害
老後2000万円という言葉が話題になりましたが、そのような大金をどう用意するのかが大事でありその回答が投資でした。既に金を持っている人ではなく、一般のサラリーマン世帯たちが少しづつでも投資をして老後資産を増やしていく必要があるというのが政府の分析でした。
そこに対して、全く逆の対応となる投資への課税です。
投資をして資産を増やせば、そこからもっと税金を取るようにするという話です。
このような話が出る中で、やっとの思いで投資をしようとした人たちの動きを阻害し、老後の資産形成を阻害してしまわないか、という懸念がとてもあります。
3. 政府への不信に
資産形成の阻害とも通じますが、今まで政府は一生懸命、国民に貯蓄から投資へと促してきました。
その動き自体はいいと思いますが、今まで推し進めてきたのになんなの?という思いが生まれてしまうのはやむを得ないのかと。
丁寧に分析していけば、NISAやiDecoが対象とするような方々には大きな影響はないのだろうと思います。また、金融所得についても累進課税とすることで所得に応じた負担を求めることもできるのかもしれません。
ただ、そのような情報もない中、単に金融所得課税の増税というワードだけを出されると、今までの話はなんだったんだ?という不信感を生み、初めに躓くとどんなにいい制度でも挽回は難しいです。(マイナンバー制度がまさに)
まとめ
所得の再分配を行い、格差を是正し社会をより良くしていく事は大賛成ですが、稚拙な印象が拭えないですね。
下手に拗れて悪印象がつく前に早々に撤回したのは良い判断だったと思います。
みんなが納得できる税制というのはとても難しい事ですが、しっかりと制度設計してから再度説明してもらいたいですねー。
ただ、サラリーマン世帯はコツコツインデックス投信の継続積立ですね!
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