MM2Hの制度変更に思うこと
マレーシアの長期滞在ビザであるマレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)の受付再開と同時に制度改定がありました。その制度改定(取得・更新条件)がかなり厳しくなっており、KL日本人会が日本大使館の協力のもと見直しの要望を出したりとなかなか話題になっています。
色々変わっているのですが、特に厳しいのは以下の2点かなと。
変更前 | 変更後 | |
マレーシア国外での月収 | 1万リンギット | 4万リンギット |
マレーシア国内での定期預金残高 | 35万リンギット | 100万リンギット |
月収が日本円にすると27万円程度だったのが、100万円超になるのは確かに衝撃が大きいですね。
更にこれらの変更が新規の方のみならず、更新の方にも適用されるというのです。リタイア後を長くマレーシアで過そうと移住されてきた方々の生活に対する影響が大きいですから、騒ぎにもなるというものです。
条件変更自体は妥当
2002年から金額での要件に変更はされておりませんでした。という点を踏まえると、これぐらい金額が増加するのは妥当という印象はあります。この比較を持ち出すのが妥当か?という疑問は残りますが、一人当たりのGDP(USDベース)は制度開始時からかなり伸びています。
2002年 | 2020年 | 伸び率 | |
マレーシア | 4,441 | 10,269 | 131% |
日本 | 32,832 | 40,146 | 22% |
日本はなかなか伸びない中、マレーシアは二倍以上に。制度改定はホイホイできるものでもないですし、今後の伸びも見込んで今回のような改定はまぁ妥当なんだろうな、と感じます。
この制度はマレーシアに来てくれる人の為の制度ではなく、外国人にマレーシアに来てお金を落としてもらい国を潤すこと。となると、旧制度でしか応募できないような人は相手にせず、もっとお金を落としてくれる人達に注力しようというのは納得です。
既存MM2H保有者の救済は?
可能性は低いけど無くはない、という中途半端な印象です。
MM2Hの方々はマレーシアで就労する訳ではないので、直接雇用を創出したり産業を盛り上げてくれるということはあまり期待できず、純粋にお金を落としてくれるかどうか、だと思います。
言い方は悪いですが、選挙権もないですし無下に扱っても政治的なダメージはあまりなく、マレーシア国民へのことを考えれば制度変更を撤回する理由に乏しく、完全撤回はまずないだろうなーと。
あるとすれば、KL日本人会からの要望のように、各国政府からクレームが入り、国としての評判を保つために既存保有者に多少救済策を出すくらいだろうな、と。
マレーシア政府は高めの球を出して、周りの反応次第で修正ということはよくやるので救済策の目はあるのでは?と思います。
良い教訓
海外移住に関する良い教訓となる話だったな、と感じます。MM2Hはそもそも長期滞在ビザであり期限があります。
となると、今回のようなリスクはそもそも含まれていたビザです。かつ、マレーシア国民でもない日本人のことを最後までしっかりケアする義理も責任もマレーシア政府にはなく、自分で備えておかないといけないんだなーと実感しました。
今後他の国に移住するときは安易に考えずにしっかり条件確認しないとですね。